経済

フィリピン経済に影響を与えるスペイン系財閥と中国系財閥をご紹介

フィリピン経済に大きな影響を与えているのが「財閥」です。

フィリピンでは、主要な産業は全て財閥が牛耳っています

この形は、今後も続いていくだろうと予想されます。

 

フィリピン財閥はフィリピン経済への影響力が大きい!

フィリピンの財閥

 

フィリピン財閥は、フィリピン経済の8~9割に絡んでいると言われます。

かなり大きな影響力があることがわかります。

 

フィリピン財閥はスペイン系と中華系に分けられる

フィリピンの財閥は、スペイン系と中華系に分けられます。

スペイン系は、植民地時代から続いているのが特徴です。

中華系は、戦後、急速に力をつけた企業が多いです。

 

スペイン系財閥 中華系財閥
  • アヤラ
  • ソリアノ
  • ロペス
  • アラネタ
  • オルティガス
  • ツアソン

など

  • ゴコンウェイ
  • シー
  • ルシオ・タン
  • コファンコ
  • ユーチェンコ
  • マリアノ・ケ
  • コンセプション・ファミリー
  • アルフレッド・ラモス
  • ホセ・ヤオ・カンポス

など

 

スペイン系財閥の特徴

スペイン植民地時代の地主がスタートです。

不動産の収益を、企業買収や株式投資に充てて財産を築きました。

スペイン系財閥は、銀行や保険など、金融分野への進出が目立ちます。

 

中華系財閥の特徴

戦後、多くの華僑がフィリピンへ渡ってきました

彼らの多くは、資金の少ない状態から商売を始めました。

そして見事、商売を発展させました。

現在も急速な勢いで事業を伸ばしています。

  • 街角の靴屋スタートの「シー財閥」
  • 空き瓶広いスタートの「ルシオ・タン」

などが有名です。

 

スペイン財閥①「アヤラ財閥」

 

18世紀に商社からスタートしました。

「BPI(バンク・オブ・フィリピン・アイランド)」という東南アジア最古の銀行を創立しました。

サービス部門では通信・水道会社を持ちます。

製造業ではマイクロチップの組立て、食品加工、エビ養殖など20社以上のグループ企業があります。

 

マカティ地区の開発を盛り上げた

 

マカティは昔、雑草の生い茂った荒地でした。

この地で高級住宅地の開発や工業団地の造成を行なったのが、アヤラ財閥です。

以降、富裕層向け高層マンションや高級レストランが立ち並ぶようになりました。

マカティは、今ではフィリピンで最も豊かな土地になりました。

 

マカティ

シティバンクインテル・フィリピンマイクロソフトNestleなどの企業が多く集まり、高層ビル群が立ち並ぶフィリピンのビジネス首都の位置付けをされ、「フィリピンのウォール街と呼ばれる副都心である。

Wikipediaより引用

 

スペイン財閥②「ソリアノ財閥」

 

ソリアノ財閥は、1941年2月26日に「フィリピン航空」を創業しました。

しかし、第二次世界大戦で大きな打撃を受けました。

戦後復興の時期になると、マッカーサーの側近だったソリアノ1世が活躍しました。

結果、フィリピン政府からもアメリカ政府からも良い待遇を受けました。

ソリアノ財閥が、サン・ミゲルビールを総合食品メーカーに育て上げたのは有名な話です。

 

サン・ミゲルビール

 

  • フィリピンビール市場の90%以上のシェアを独占
  • 現在はコファンコ財閥の所有

当時のサン・ミゲルビールの傘下には、銅鉱山・製紙・肥料・銅線を扱う20以上の企業があります。

 

スペイン財閥③「ロペス財閥」

 

ロペス財閥の持つパワーは強力です。

ロペス財閥に逆らってフィリピンで経済活動を行うことは不可能だとされています。

例えば、フィリピンメディアを事実上牛耳っている」と見て取れます。

 

ロペス財閥所有のフィリピンメディア

  • フィリピン最大のテレビ放送局ABS-CBN
  • ケーブルテレビのスカイ・ビジョン
  • 通信会社のバヤン・テレコミニュケーションズ
  • その他、ラジオ局や新聞社、出版社を持つ

実は、ロペス財閥の事業はメディアだけに留まりません。

通信・電力・水道・高速道路などのインフラを一様に担っています。

 

スペイン財閥④「アラネタ財閥」

 

ネグロスに広大な砂糖プラネーションを所有します。

が、1980年代砂糖不況の時期にその事業は縮小しました。

 

ネグロス島

 

現在は、不動産事業がメインです。

医薬品の分野では武田薬品と提携関係にあります。

 

スペイン財閥⑤「ツアソン財閥」

 

バナナ農園の経営で有名です。

ミンダナオに広大なプランテーションを有します。

日本向けにバナナ輸出の先陣を切った一家です。

 

海運業からスタート

ツアソン財閥はミンダナオでの海運業からスタートしました。

持ち株会社の下に開運・貿易・不動産・銀行などの数多くの企業を所有しています。

1980年には花王と合弁でココナッツ油誘導品と化粧品の生産を行うようになりました。

 

スペイン財閥⑥「オルティガス財閥」

 

オルティガス地区を所有します。

アヤラ家、アラネタ家、ツアソン家と並び、「サン・フアン - マンダルヨンエリア」に広大な土地を所有しています

この地域の土地開発と、分譲によって得た巨額の資金を株式投資や企業買収に充てました。

事業主体は不動産関連です。

 

サン・フアン - マンダルヨン間

 

中華系財閥①「ゴコンウェイ財閥」

 

ゴコンウェイ財閥の事業は、日用品の売歩きから始まりました。

その後、小麦粉と織物の輸入で得た資金を元に、澱粉製造会社を設立しました。

続いてコーヒー会社CFCを組織しました。

インスタントコーヒー「ブレンド45」は国内最大のシェアを獲得していきました。

 

多角的に事業を成功させている

ゴコンウェイ財閥は、マルコス政権下ではホテル建設に踏み切っています。

綿織物会社を買収したジーンズでは、国内最大の企業となりました。

アキノ政権下では、マンダルヨンに巨大商業センター「ロビンソンズ・ガレリア」を建設しています。

小売り大手のロビンソンズ(Robinsons)を運営するのもゴコンウェイ財閥です。

小売りと言えば、日本との合弁でミニストップを現地に展開しています。

他にも、セブパシフィック空港、デパート、通信会社を所有しています。

 

中華系財閥②「シー財閥」

 

フィリピン最大の商業銀行「BDO(Banco de oro)」を経営しています。

他にも、マニラ最大のデパート「シューマート」(SM)を経営しています。(ブルネイ・サバ・ハワイ・グアムにも出店しています)

持ち株会社・シューマートの下には金融・不動産・水産・映画の会社があります。

 

アキノ政権下でも積極的に事業拡大に走った

例えば、大型商業施設「エドサ・コンプレックス」を建設しました。

ゴコンウェイ財閥の「ロビンソンズ・ガレリア」と競争する形です。

ヘンリー・シーは、チャイナ・バンキングなど、華人系銀行の大株主であります。

これはつまり、トヨタ自動車の現地パートナー・メトロバンクグループとも近い関係にあることを意味します。

 

中華系財閥③「ルシオ・タン財閥」

 

PNB銀行や、フィリピン航空を保有しています。

他にも、航空事業、酒造、鉱業、農園事業を手がけます。

オーナー「ルシオ・タン」はやり手です。

アメリカ・フォーブス誌の世界金持ちランキングに掲載された経歴を持ちます。

 

謎多き人物「ルシオ・タン」

ルシオ・タンは中国福建省・アモイから移住してきました。

化学工学を学び、タバコ産業で成功したことから、ガッツある人物であることが伺えます。

フィリピンで2番目の資産家であり、70億ドル以上の資産を保有していると言われます。

ルシオ・タンは、多くの大企業を所有していながらも、決算を公表しないことで有名です。

 

中華系財閥④「コファンコ財閥」

 

コラソ・アキノ元大統領、ベニグノ・アキノ元大統領を輩出したことで有名な企業グループです。

現在、サン・ミゲルビールを所有するのはこのコファンコ財閥です。

その傘下に、農園、養鶏、砂糖精製、飼料工場、商品加工、不動産開発などの企業を所有します。

 

中華系財閥⑤「ユーチェンコ財閥」

 

ユーチェンコ財閥は、保険会社にルーツを持ちます。

戦時中の一時の中断時期を経て、マラヤン保険会社として業界で不動の地位を築きました。

マラヤン保険会社を親会社とし、銀行業・投資・貿易・建設・通信・製造業と、多角経営を行なっています。

 

中華系財閥⑥「マリアノ・ケ財閥」

 

フィリピンに行くと、「Mercury Drug Store(マーキュリー・ドラッグ)」という薬局を見かけます。

全国展開のお店です。

多品種・薄利多売を戦略としています。

フランチャイズ方式で着実に店舗数を増やしてきました。(マニラだけでも100以上の支店!)

他には、貿易・ファーストフード・不動産・農産物加工・パン製造などの分野を展開します。

 

中華系財閥⑦「コンセプション・ファミリー財閥」

製粉業と家電業で、アキノ政権下に急激に業績を成長させました。

 

コンセプション・ファミリーのメイン事業

  • 製粉業:リパブリック・フラワー・ミルズ
  • 家電業:コンセプション・インダストリーズ

 

中華系財閥⑧「アルフレッド・ラモス財閥」

 

アルフレッド・ラモスは、1980年代後半から株式投機で名を上げてました。

いわゆる相場師です。

フィリピン第1位の書店チェーン「ナショナル・ブックストア」や石油掘削会社の「フィロドリル社」を始めとし、多くの企業を保有します。

その他にも、鉱物資源開発・不動産・など多くの企業を保有します。

 

中華系財閥⑨「ホセ・ヤオ・カンポス財閥」

フェリピン最大の製薬会社「United Laboratories Inc.(ユニラボ)」のオーナーです。

マルコス元大統領と特別な関係を築いています。(意味深)

それにより、政府機関や公立病院への医薬品の供給を独占しています。

 

まとめ

フィリピン経済は、財閥の存在を無視できません。

どの企業も多角経営なのが興味深いです。

フィリピンである程度の規模を計画する場合は、財閥グループや政界との接点が必要です。

「財閥と良いタッグを組むこと」

これがフィリピンでのビジネスプロジェクトの成功の鍵です。

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